「待機児童問題」を垣間見る

2016ユーキャン新語・流行語大賞のトップテンに「保育園落ちた日本死ね」が選らばれるなど待機児童問題が大きくクローズアップされたが、国や地方自治体は、新たに認可保育所を増やす他、保育定員の増加、幼稚園の時間外保育(認定こども園)、東京都が実施している認証保育所制度のような自治体が独自に補助金を出す認可外施設など国や地方自治体も受け入れ人員を増やそうとしているが保育士不足や騒音問題を理由とした住民の反対など問題は山積となっており早期解決とはいかないのが現状である。

待機児童問題で意外と知られていないのが、保育所の受け入れ児童数が年齢によって異なるということである。

このため、待機児童問題の解決の方策として、単なる規制緩和や新たな保育所開設だけでは、解決できない。

なぜならば、下の表-1「年齢別の保育所利用児童及び待機児童数(27年度)」を見れば一目瞭然で、0歳児から2歳児までの待機児童が待機児童総数の約80%以上を占めていることがわかる。

「待機児童問題」を垣間見る|一般社団法人日本生活問題研究所

この理由として、表―2「保育所の保育士配置基準」に示されているように保育士1人が受け持てる児童の数が0歳児3人、1歳児から2歳児6人と年齢が低くなるほど、保育士1人が受け持てる人員が少なくなっているため、待機児童の数が中々減らない現状が垣間見える。残念なことに、年齢と受け入れ児童数の関係はあまり一般に知られていない。

「待機児童問題」を垣間見る|一般社団法人日本生活問題研究所

このため、待機児童問題を考える時は、保育児童一律の問題でなく、年齢別に受け入れ人員が異なることを考えなくてはならない。

したがって、単純に規制緩和で受け入れ人員を増やしたり、新たな保育所建設を開設するだけでは待機児童の約80%以上を占めている0歳~2歳の受け入れを大幅に増やしたことにならない。

すなわち、待機児童問題が深刻な問題となったのは、ただたんに保育所を増やせば良いということに留まらず、年齢によって異なる受け入れ児童数の問題や子供の安全と健全な発育の問題など、あまり関係者以外に知られていない重要な問題が数多く含まれていることが、待機児童問題をより難しくしている。