朝鮮半島の南北融和は実現なるか

6月20日の韓国聯合ニュースによると都鍾煥(ト・ジョンファン)文化体育観光相は、平昌五輪の一部競技を北朝鮮で開催したい旨を明らかにした。

また、女子アイスホッケーチームを南北合同チームとして平昌五輪に参加させるため、国際オリンピック委員会(IOC)や北朝鮮の張雄(チャン・ウン)IOC委員と協議したいとの意向を示した。

現在、平昌五輪に出場できる女子アイスホッケーの枠は8カ国だけで、世界ランキング22位の韓国は、開催国資格で出場できるが、北朝鮮(25位)には出場権がない。

北朝鮮との融和を掲げて当選した文在寅(ムン・ジェンイン)大統領としては、北朝鮮情勢を巡って、アメリカ、ロシアそして中国の3ヵ国が微妙な立場に立っている今こそ、世界が注目する平昌五輪を最大限に利用して、南北融和を図る姿勢を国の内外に示し、将来的に一国2制度による南北を統一国家「高麗連邦」(仮称)構想を韓国の主導のもとに実現したい考えの様だ。 朝鮮半島研究者の間では、「イカとタコ」の話がある。意味は、「北朝鮮でイカと言えば韓国ではタコを、逆にタコと言えばイカを」示すそうだ。事の真贋は不明であるが、長い政治的分断の影響で、共通言語である朝鮮語の意味自体が変わってしまうという揶揄で、南北分断による溝の深さを表す意味として、朝鮮問題研究家の間で使われている隠語のようだ。

そもそも、南北統一を目標に一国2制度での統一国家「高麗連邦」(仮称)を作る構想は、2000年6月に金大中大統領と金正日国防委員長の間で平和的統一を目指すとした「6.15南北共同宣言」の履行ともいえる。

しかしながら、「言うは易く、行うは難し」の格言があるが、イカとタコに表されるように、南北に分断されて長い月日の経つ2国間の言語、文化、そして政治体制の溝を埋め、一国2制度の名のもとに連邦国家「高麗連邦」を樹立するには、両国が相当に歩み寄り、統一のための障害と問題の克服に向けた譲歩と妥協を繰り返さなければ現実的に難しい。