新「大学入学共通テスト」で地域格差が生まれる

大学入試センター試験に変わる新テスト「大学入学共通テスト」(仮称)が2020年度に始まる。

大学入試にとっては約30年ぶりの大改革であり、最初に新「大学入学共通テスト」を体験するのは2021年4月に大学に入学する中3が対象となる。この新たな受験制度の中でも英語試験の在り方をめぐって、教育現場である高校側から不安の声が上がっている。

6月16日に発表された文科省試案によると、国語と数学では記述式の問題が出題されるようであるが、英語は現行の出題方式を一変させ、学習指導要領で求めている4技能「読む・聞く・話す・書く」を身につけさせ、グローバル化に対応した人材育成を目指して英検やTOEICなど民間の試験を活用したいと考えているようだ。

この大改革に対応するため、私立高校や中高一貫校では、少子化の中で生き残りをかけて、一早く留学経験者や外国人講師を雇用し英検やTOEIC試験に対応した語学教育の準備を進めているが、公立高校、特に地方の高校などでは予算や公務員法の問題などから、外国留学経験者や外国人講師を簡単に雇用することは難しく、今までの入試対策は出来ても英検やTOEIC試験対策に対応した英語教育まで手が回らないのが実情だ。

結果として、親の年収が高く予備校や語学学校に通わせることが出来る家庭の子供が有利となることは必定で、高校間の格差や地域格差を生む可能性を多分に含んだまま、020年度に始まる、新「大学入学共通テスト」に突入することになる。

このままでは、世界でグローバル化の光と影の部分の格差が問題となってきている今日、日本では便利さや行政サービスの面で中央と地方の格差が起きているが、大学入試を目指す高校生にも中央と地方の格差によるシワ寄せが起きようとしている。